寸志

ボレロ♪ と息子の弁当

行きつけのシアターにて、敬愛するクロード・ルルーシュの監督の
『愛と哀しみのボレロ』を観る。
見始めて「しまった!」 大戦中の悲喜交々満載なのだ。

この齢になると、以前とはまた感じ方が違って辛い。
現実はもっと酷かったのだから…と思うのだが、
身心がおのずと受け取ってしまい居ても立ってもいられず、早く終われと願う。

しかし、モスクワ パリ ベルリン ニューヨークが舞台で、
役者は主にダンサーや音楽家という設定なので、ちょっとしたミュージカル仕立て。
いい役者や音楽に魅入られてしまった。

死に別れるのと、生き別れるのはどう違うんだろう。
生き別れても消息がわからなければ、死んだも同じではないのか。

ラストシーンでは四つの国の家族がパリに集う。
生き残った者たちのいのちが受け継がれ、場を共にする。
あたしも報われた。もう一生、この映画を観なくていいくらいに。

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映画を観終って向かったのは上野の都美館。
中学生の息子の作品目当てに、いそいそと。

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樹の上のカメレオンの銅版レリーフ。素晴らしい!

以下、もう一発。
息子のロマンが詰まった紙粘土製の弁当。
鰻のリアリティにぎゃふん。
ここのところ鰻食べてないんで胸が痛みます…

カメレオンといい鰻といい、ヌルっとつかみどころのない
二子くんの世界観満載の作品でした。自慢です!

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# by Johnnieblue | 2016-02-10 19:01 | 美しさ

バレエボーイズ

正月二日、気ままに行きつけの小さな映画館にてバレエボーイズを観る。

ノルウェーの中学生が、バレエダンサーを目指し成長してゆくドキュメンタリー。
仲良し三男子シーヴェルト、ルーカス、トルゲールは首都のバレエ学校へ
合格するほどの実力。
中でもルーカスは迷いなくダンサーを志し、英国のバレエ学校へ旅立つ。

(のちにトルゲールは、ノルウェー軍に入隊したとサイトに記されています。
なんだか人ごととは思えません…)

ルーカスは15才で身長180cmといっても、まだまだ子ども。
親から離れ、友人と別れ、ひとりはるばる遠国へ。
バレエ団にふさわしいダンサーになるべく厳しい練習を積み、
ライバルたちと切磋琢磨の日々。

しかし踊ることへの愛、野心、情熱がハンパじゃない仲間に囲まれ、
よい刺激となっているんだろう。
ルーカスの顔つきは短期間でどんどん精悍になってゆくのです。


それにひきかえわが家のボーイズは、子ども時代を謳歌している。
何かを諦めたり打ちひしがれたりするのは、まだ先のことなのだろう。

高校生なのに、ちんぽ丸出しで家中歩きまわってたり
小学生と高校生が朝飯の前にキャッチボールでひと汗かいてたり、
正月二日だというのに近所の小学生が誘いに来る中学生…
いったいなんなんだよ。

そんな自分も朝からカレーを仕込んでしばし逃避行!
夢もなく、打ち込めることもなんにもないけど、人生勇気が必要だ。
本年は年女でもある。

しかしこの映画、見ごたえあったなあ。
バレエと青春、踊れないのに一緒に踊りたくなっちゃうのさ。
るるる~♪


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# by Johnnieblue | 2016-01-02 14:50 | 美しさ

生まれ変わっても 

ダンナが新聞か何かの記事で
来世も今のパートナーと一緒になりたいか
というアンケート結果を見たらしく
はい と答えたひとは少ないんだよねえ と言う

そして 
また一緒になりたいよねえ 
と当然のように言ったのだ

いやいや あたしは嫌だよ
アンタのことは嫌いじゃないし まあよかったべと思ってるけど
今度は別のひとがいい
そのほうが面白そうだもん
だってさ みんな 遊ぶために地球に来たんだもん

なんで相手も同じだと思えるの?
ふしぎ 

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# by Johnnieblue | 2015-12-27 07:26 | 老病死

田口ランディの「ありがとう」がエンドレス

表紙の絵もよく、見返しの色もピンクで楽しく、新書サイズも心地よく。
内容もいい。母が巣立つ娘に語る言葉は簡素で鋭く、甘い。
以下、本文より抜粋。


いつも人には親切に。でもけしてナメられないこと。
いいかい、最高の笑顔でガン飛ばす(笑)。

人生は食べたものと、言葉と 出会った人でできている。

人生がおもしろいかどうかは「おもしろい」ってインプットしたかどうかそれだけなんだ。
才能も学歴も収入も、なにも関係ないんだよ。
面白いことを、発見してたのしく生きよう

どうせなら、世の中を憂うより、世の中を称えてごらん。
小さな社会貢献だよ。

つまらない仕事ってないよ。どの職場でも、その職場で一番仕事ができる人は、
かっこよかった。そういう人たちが、誠実に仕事をして、
この社会を支えているんだなあって、若い時に知れてよかったよ。

まあ、人生いろいろだから、悩みもいろいろで、人と自分は違うから。
母さんのいうことが全部あてはまる人なんかこの世に母さんしかいないから
人の苦労話はふわっと聞いておきなさいね。

「お母さん、友だちがみんなすごくよくしてくれるんだけど、
あれは私の人徳じゃなくて、向こうの人徳なんだよね」
「そうだね、そう思っていれば間違いないね」「みんな偉いなあ…」


当たり前のことしか書いてないんだけど、そうそう!
自分も伊達に齢をとってなかったぜと共感できる。
ランディさんの経験を通して、複雑でスピリチュアルなこともさらっと、
ごくごく簡単に言ってるのはさすがです。

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# by Johnnieblue | 2015-12-14 18:01 | 読書

長いお別れ

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行きつけのクリーニング屋にて、またKさんに会う。

クリーニング屋を両替所替わりにしているらしく、帽子ひとつに一万円を差し出し

おばさんを困らせている。


Kさんは声と後姿だけですぐわかる。

以前はKABA.ちゃんみたいな、どうみてもカツラにしか見えないカツラを被っていたが

今日は白髪のおかっぱ頭…地毛なんだろう。ピンクのダウンに赤いタータンチェックの

細身のパンツにステッキ姿。めちゃめちゃロックンロ~ルやん! 


大人しく後ろで控えていたら、Kさんが振り向いた。目を見開き、

「あら、アンタだったの! あたしこんな白髪になっちゃって…杖ついちゃってさ。

でもリハビリがんばったのよ。明日は眼科、午後はデイサービスへ行くの」


白髪のほうがすっごく素敵です! カッコイイ。

あたしもそんな風になりたいな~(本気=マジ)。

自由に歩けるなんてスゴイ。毎日お忙しいんですね。


Kさんは独身でここ数年入退院を繰り返しているが、姉妹も多く資産家らしい。

相当おばあさんなことは確かだが、年齢はわからない。

それほど親しくはないんだけれど、なんとなく気になる存在。

あたしのこと覚えていたんだ。でも、多少認知症ではあるんだろう。


アメリカでは認知症を「長いお別れ」と言うらしい。

ゆっくりと遠ざかっていく…そんなイメージ。


初夏から近所の高齢者のホームで働いている。

認知症の方々のフロアで、だいたい15人と接している。

症状が相当進んでいるひともいれば、そうじゃないひともいて、

それぞれが優しくて穏やかで、興味深い存在だ。


たいていのひとは、認知症になんかなったら終わりくらいに思っているだろう。

しかし、ほとんどのひとはいずれはそうなる。

個体差もあるが、長生きすればするほど確率は高くなる。

しかし、それは悲しく寂しいことでもあるが、不安や恐怖から解放されることでもあるのだ。


ホームは団体行動なので時間で動く。食事、排せつ、入浴、遊び…

団体行動が嫌いなあたしは、正直嫌だなと思いながら働いている。

認知症の進んだ方は見守りが必要で、思い思いに過ごしていただくのは難しい。

でも、お互いにできるだけいい時間を作りたいと試行錯誤している。


皆さん、しばしば「帰ります。お世話になりました。

おれいがしたいけどお金がなくって。ごめんなさいね…」なんて仰る。

帰るところなんてないのに、方々へ帰りたがる。そんなときは嘘をつく。


もうすぐお孫さんが迎えに来ますから、お昼ごはんは食べて行ってくださいね。

あるいは、天気が悪くなりそうだから明日にしましょうね、とかなんとか。


あたしは先生と呼ばれ、おねえさんと呼ばれる。

「かあちゃん!」と声をかけられることもある。

ホームはそのつど学校や幼稚園や病院や家になっているようだ。


Kさんのように、大勢のひとのサポートを受けながら自宅で暮らすのは理想である。

自分も年々赤やピンクが好きになってきたのは、年をとったせいなのかも。

年を経るごとに、どんどん自分になっていく。

老いていくのも面白い。



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# by Johnnieblue | 2015-12-06 10:08 | 老病死